会社の種類
弊所の近くには回転寿司チェーン店が三種類ある。すなわち、「スシロー」「はま寿司」「魚米」である。この三店舗の距離はそれぞれ歩いていける距離なのでまさに回転寿司激戦区いや回転三国志ともいえる抗争を日々展開している。
あまり回転寿司にいかない方は回転寿司なんてものは、要するに注文すると寿司皿がレーンに乗って流れてくるアレだろ?大して差なんてないよ、と思われるかもしれない。
いや違う
各回転寿司が何を意識してどこに力をいれているのかなんとなく感じるところがあるし、明確に違うところもある。この回転三国志に関しては気が向いたら後日記事にしたいと思う。
ところで『会社』というのも種類があり、たいした差がないように見えて差があるのです。
4つの種類
会社法上の会社には株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4つの種類があるます(2条1号)。株式会社以外の3つは、「持分会社」と呼ばれます。
会社債権者に対して負う責任
上記の会社区分は会社債権者に対する責任の負い方がそれぞれ違っています。それでは、責任の種類を見ていきたいと思います。
・直接責任と間接責任
会社を構成する社員(従業員という意味ではない)が、会社の負担した債務について会社債権者に対して直接弁済の義務を負うことを直接責任といいます。一方、間接責任とは、社員が、会社に対して一定の出資義務を負うだけで、会社の負担した債務について会社債権者に対して直接弁済の義務を負うことはありません。
・無限責任と有限責任
社員が、会社債権者に対して債務全額について無限の責任を負うことを無限責任。これに対して有限責任とは、社員が会社債権者に対して一定の金額を限度として責任を負うこと。
※「社員」とは会社法では、「その会社に出資している人」を指します。株式会社であれば株主を指します。
株式会社
最も知名度のある会社形態。
株式会社は、会社債権者に対して間接の有限責任を負う社員だけで構成される会社です。
株式会社では、社員たる地位が「株式」という均一に細分化された割合的単位の形をとっています(持分複数主義)。
そして、株主は株主の引受価額を限度とする有限責任だけを負いますので、会社が会社財産から負債を支払うことができない時でも社員である株主に直接支払いを請求することができないということになります(株主有限責任の原則)。
会社債権者に対する責任の範囲が限定されているなら倒産も怖くないじゃあないか!と思われるかもしれませんが会社が金融機関から融資を受ける際、社長である社員の個人保証を求められることがほとんどです。つまり、有限責任といえども実際は無限責任と同じリスクを負うのです。
株式会社は設立する場合、それなりにお金がかかります。
・定款認証費用
株式会社の定款は公証人の「認証」(公の機関による証明)が必要で5万円ほどかかります。
・定款の印紙代
定款を紙で作成した場合、収入印紙4万円が発生します。ただし、電子定款の場合は印紙代は発生しません。
・登録免許税
株式会社を設立する場合は国に修める費用として15万円が発生します。
・士業への支払
法人の設立を士業に依頼する場合、だいたい10万円~が発生します。
以上から、株式会社は設立するだけで30万~40万円ほど費用がかかります。
しかし、高い知名度と社会的信用により、取引、融資、採用に強いと言われています。
合名会社・合資会社
持分会社である合名会社と合資会社ですが、現在ではほとんど設立されることがないのでサラッと概要を。
古くからある醤油や酒類の造醸所などがこの会社形態をとっています。
「魔界への誘い」や「北斗の拳」のラベルの焼酎を販売している光武酒造場は合資会社です。
・合名会社
合名会社は、会社債権者に対して直接無限の連帯責任を負う無限責任社員だけで構成される会社です。
つまり、会社債権者に対して会社の財産だけで債務の支払ができない時は、会社債権者は社員の財産に強制執行することが出来るということです。
・合資会社
合資会社は、直接の無限責任社員と、直接の有限責任社員によって構成される二元的な会社です。
会社はほとんど一人から設立可能ですが、合資会社だけが二人からとなっています。
合同会社
2006年から導入された最も新しい会社形態。
アメリカのLLCという会社形態をモデルにしているらしく日本版LLCと呼ばれていた時期も。
Google、Amazon、appleの日本法人はすべて合同会社。
2024年では新設法人の27%が合同会社と設立する側の人気は年々高まっています。
構成社員は全員が間接責任の有限責任社員。
組織構成の特徴としては株式会社が株式の取得により均一な持分を複数獲得していくのに対して
合同会社では、利益の配分や議決権等は持分割合によらず自由に決定できるので、株式会社よりも柔軟に会社の内部事項を定めることができます。
また、上述した株式会社と比較すると設立費用が安価です。
・定款費用
合同会社の場合、公証人による定款の認証は不要です。さらに定款を電子で作成すれば印紙代も不要なので定款に関して費用が発生しないということになります。
・登録免許税
合同会社の登録免許税は6万円と株式会社の半額以下。この費用の安さが合同会社の人気の一つとなっています。
士業に依頼して設立する場合の費用はこちらもおよそ10万円~となっていますので、合同会社の設立費用は15万~ほどで設立できるということになります。
デメリットとしてはとにかく知名度がないです。特に高齢の経営者が取引相手として検討する場合、合同会社はまだまだよくわからない怪しい会社形態と写っているように感じます。
以上が、会社の種類になります。
設立される場合は、ご自身にとって最適な会社を選択して頂ければと思います。
当事務所では法人設立業務も行なっております。是非お気軽にご連絡下さいませ。