許可の基準を記した法第4条より第2項第2号「営業制限地域」について記載していきます。
許可要件の中で実務上もっともコワいのがこの要件です。なぜなら営業制限地域の中にあると何億円かけた店舗でも絶対に許可されないからです。ですから確実に営業制限地域を見極めなければなりません。では、どんな内容になっているか見ていきたいと思います。
(1)内容
まずは条文を見てみましょう。
二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。
「周囲の生活環境を守るため一定の地域では風俗営業を行なってはなりません。その地域は、政令で基準を示しますので、あとは地域の実情に従い条例で決めて下さい。」という内容です。
それでは、その政令の基準を確認しましょう。
(2)政令で定める基準
制限地域の基準は令第6条に定められていますが簡単に説明します。
① 民家がたくさんある「住居集合地域」では営業してはいけません。
② 学校や病院などの保全対象施設の周辺では営業してはいけません。どこまで距離をとらなくてはいけないかは条例で決められています。
③ 保全対象施設と、営業所の設置が制限される最大距離は100m。
④ 保全対象施設と営業所との距離は、風俗営業や保全対象施設の内容毎に異なる距離であってもかまわない。
以上をベースに条例で「保全対象施設」と「営業制限地域」が条例で定められています。。
(3)保全対象施設とは?
保全対象施設とは、学校や病院など利用者や施設の特性からみて特に周辺環境に配慮しなければならない施設のことです。ほとんどの都道府県が以下の施設を保全対象施設としています。
①学校
②図書館
③児童福祉施設
④大学
⑤病院
⑥診療所(入院施設がある場合に限る)
これらの施設になることが決定した土地も含むので注意が必要です。
⇒保全対象施設とは?(後日執筆)
(4)営業所の場所によっては制限が緩和される
多くの条例では、一定の地域に営業所があると保全対象施設との距離制限が緩和されます。「商業地域」が通例ですが、栃木県では「準工業地域及び温泉地域」。群馬県では「商業地域」と「商業地域以外の地域」と大きく分けています。
(5)だから許可は取るべき(既得権益)
ここまで読んで、もしかしたらある疑問が沸いた方もあるのでは?
せっかく風俗営業許可を取ったけど店の間横に小学校が出来てしまった!
この場合は保全対象施設との距離制限に違反するため店をたたまなければならないのか!?
結論からいうとたたむ必要はございません。これが既得権益です。
既得権益とは、すでに許可を得ている営業所が、事後的に制限地域に含まれることとなったとしても許可が維持されるというものです。許可を得ずに営業を行なうこと事態にリスクがあるのですが、警察から指導を受けていざ許可を取ろうと思ったときには店の裏手50mに保育園が出来ていた!出来てから(設置予定の決定も含む)ではもう遅いのです。
※ただし、許可を得た後に人的欠格事由に該当した場合は許可取消の対象となります。
⇒やはり許可取得は強い!滅失時特例許可!(後日執筆)
(6)POINT
✅営業制限地域内では絶対に許可されない。
✅学校や病院などの保全対象施設の周りでは一定の距離がないと営業できない。
✅営業制限地域は許可や保全対象施設ごとに異なり条例で決められている。
✅一度許可を取れば制限地域内でも営業できる。
✅やはり無許可営業はリスクしかない。
外部リンク
・かおるTV(YouTube)
・悪質ホストクラブ対策について(警視庁HP)
・栃木県風俗営業許可関係
・群馬県風俗営業許可関係
・埼玉県風俗営業許可関係
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
