夫が亡くなって相続が発生した。
悲しむ間もなく葬式、遺品整理、その後の生活、、、。
その中でも葬式費用は高かった。
2022年で平均110万円。
亡くなってから葬式はすぐはじまるのに遺産分割協議をしないと夫の預貯金から現金が引き出せないという。
分割協議まではまだ2ヶ月はかかるだろう。
しかし故人のためにちゃんとしたお葬式をあげたい。
さてどうしたものか、、、、。
平成30年の民法改正
この他にも、夫婦の貯蓄のほとんどを被相続人(亡くなられた方)の預金に入れていたために埋葬費や生活費に困窮する場合などがあると思われます。
平成30年の改正民法により、相続人間の資金需要に迅速に対応するため、各共同相続人が遺産分割協議の前に裁判所の判断を経ることなく、一定の範囲で遺産に含まれる預貯金債権を行使することができる制度が設けられました。
これにより、各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、
その相続開始時の債権額の3分の1に、当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分を乗じた額について、単独でその権利を行使することができます。
この規定によって、この規定によって権利行使することができる預貯金債権の割合及び額については、個々の預貯金債権ごとに判断されることになります。
具体例
●被相続人 Aさん
〈預貯金〉
X銀行 普通預金 300万円
定期預金 240万円
●相続人
配偶者 Bさん 法定相続分 2分の1
子 C、D 法定相続分 各4分の1づつ
【普通預金】
X銀行の普通預金300万円の3分の1=100万円
上記金額に対して、Bさんの法定相続分2分の1を乗じる=50万円
払戻し可能な金額は50万円となる。
【定期預金】
定期預金240万円の3分の1=80万円
上記金額に対して、Bさんの法定相続分2分の1を乗じる=40万円
払戻し可能な金額は40万円となる。
よって、X銀行から計90万円引き出すことができる。
ただし、同一の金融機関から払い戻すことができる金額の上限は150万円です。
必要書類
必要書類としては以下のものになりますが、詳細は各金融機関により異なる場合があります。
①被相続人が死亡したことが分かる書類
②相続人の範囲がわかる書類
③払戻しを受ける者の法定相続分がわかる書類
具体的にはこれらの事実を証する戸籍謄本、除籍謄本となります。
その他の遺産分割前の預貯金払戻し制度として、仮分割の仮処分の制度があります。
ただし、この制度は、遺産分割の審判又は調停の申立てが必要であり、かつ、家庭裁判所への申立てが必要であるため
前述の預貯金払戻しより若干、手間がかかることになります。メリットとしては払戻し金額の上限が存在しないことです。
お気軽にお問い合わせください。080-5004-4950受付時間 11:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]
お問い合わせ