接待行為とは?

 夜のお店をやるうえで一体どんな許可や届出が必要になるのか?
その判断基準の最大のポイントとなるのが「接待」の有無です。
それでは、一体どんな行為が接待とされるのでしょうか?

『接待』の定義

 風営法の解釈運用基準によると、接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」とあり、さらに以下のように続きます。

営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来
店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として(中略)
特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常
伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。

『風営法解釈運用基準』第4 より(以下、同じ)

 つまり、店側のメインサービスが従業者等の接客であり、来店客もそれを期待して行なわれる店側の接客サービスが『接待』と言えます。
居酒屋などで大将と多少の談笑をする場合、来店客の目的は料理や酒類などであり、基本的に料理に従事している大将との会話に上のような『歓楽的雰囲気』を認めることは基本的にないと考えられます。

『接待』の判断基準

 解釈運用基準は接待の判断基準として以下の具体例を挙げています。

(1) 談笑・お酌等
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲
食物を提供したりする行為は接待に当たる。

 よく「となりに座るか座らないかが接待の判断基準だ」と考えておられる方がおりますが、接待の判断基準は上のように接客の状況により判断されますのでカウンター越しだからセーフということではありません。
そして接待にあたらない行為として

 お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、
客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供す
るだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世
間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。

 と記載されており、深夜酒類提供飲食店で営業されている場合はあまり世間話が長くならないよう意識したほうが良いでしょう。

(2) ショー等
 特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画
された場所において、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は接待に
当たる。
これに対して、ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、同
時に、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は、接待には当たらない。

 営業者側から特定の客に対しショー等を行えるのは風俗営業許可や特定遊興飲食店営業の許可を取得しないと出来ないということになります。

(3) 歌唱等
 特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはそ
の客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に
歌う行為は、接待に当たる。
 これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、
又は不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくは褒めはやす行為、不特定の客か
らカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為
等は、接待には当たらない。

 スナックやガールズバーを深夜営業で行なっている場合、客からカラオケのデュエットをお願いされることもあるかと思いますが『接待』にあたるため注意が必要です。
 それにしても上の「接待にあたらない行為」にあるような、客の遠くで不特定の客に拍手したり褒めはやす行為とは一体どんな状況だろうか...。

(4) ダンス
特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせ
る行為は接待に当たる。また、客の身体に接触しない場合であっても、特定少
数の客の近くに位置し、継続して、その客と一緒に踊る行為は、接待に当たる。
ただし、ダンスを教授する十分な能力を有する者が、ダンスの技能及び知識を
修得させることを目的として客にダンスを教授する行為は、接待には当たらな
い。

(5) 遊戯等
 特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たる。
これに対して、客一人で又は客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為
は、直ちに接待に当たるとはいえない。

 ガールズバーなどでダーツやトランプを備えている店舗は多いと思うが、客と一緒に遊戯した場合『接待』に当たります。
では、近くでダーツ等をするのを見て応援するのはセーフかというと(1)の談笑にあたると考えられます。

(6) その他
 客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当
たる。ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触等
は、接待に当たらない。
 また、客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。
これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、
コート等を預かる行為等は、接待に当たらない。

 基本的に客とのスキンシップは接待であると解釈されている。その一方でスキンシップは無い「あ~ん♡」は接待であるとされています。

接待の主体

 接待を行なう者は店舗の従業員に限らず、芸者さんや出張ホステスさん、さらには客を装ったサクラが接待をする場合も含み「女給、仲居、接待婦等」その名称により判断されるものではないとされます。

おわりに

 以上で上げたような接待行為を、風俗営業の許可を取得せずに行なった場合無許可営業として罰せられる場合があります。

風営法 第49条  二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

 以下に2017年に無許可営業で逮捕された会員について書かれた民商の新聞のリンクを張っておきますので興味がありましたら御一読下さい。
 https://www.zenshoren.or.jp/2017/04/24/post-891

飲食店営業許可や深夜酒類提供飲食店営業で接待行為が日常化している場合、風俗営業の許可を取得するか接客スタイルの見直しを検討する必要があるでしょう。