風俗営業では普通の飲食店と違って「料金表あり方」に法の規制が敷かれています。結局は客とのトラブルを防ぐ事を目的としているので他業種の方も参考になる部分があるこもしれません。どんな内容か見ていきましょう。

(1)概要

(料金の表示)
第十七条 風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。

 風俗営業の営業所では、料金表等を客に見やすいように表示しなければならない。ただし、パチンコ店などの4号営業の料金は法19条が料金等を規制している。

(2)料金表示義務の趣旨

① 風俗営業では、享楽的雰囲気の中で飲酒よる酩酊や遊戯による精神的高揚のため、料金に関するトラブルが生じやすい。また、いわゆるぼったくりバーのような事後的に高額料金を請求してくる業者など不誠実な営業を行なう輩を取り締まる趣旨がある。

② 料金の水準そのものは規制されていない。したがって世間一般に比較して高額な料金設定であっても、それが事前に表示されている限り、本法上の問題は生じない。

(3)料金の表示方法

 国家公安委員会規則で定めるところにより規則33条が料金の表示方法について定めている。

(料金の表示方法)
第三十三条 法第十七条の規定による料金の表示は、次の各号のいずれかの方法によるものとする。
一 壁、ドア、ついたてその他これらに類するものに料金表その他料金を表示した書面その他の物(以下この条において「料金表等」という。)を客に見やすいように掲げること。
二 客席又は遊技設備に料金表等を客に見やすいように備えること。
三 前二号に掲げるもののほか、注文前に料金表等を客に見やすいように示すこと。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則

(4)規則で定める種類

 国家公安委員会規則で定める種類のものとは規則34条で定められている。

営業の種別営業の種類
1号営業一 遊興料金、飲食料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が接待を受けて遊興又は飲食をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
二 サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金
2号、3号営業一 飲食料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が飲食をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
二 サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金
4号営業法第十九条に規定する遊技料金
5号営業一 ゲーム料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が遊技をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
二 サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金

(5)実務上の留意点

 メニュー表は、風俗営業1号許可においては必須の提出書類。バーなどの深夜酒類においても栃木や埼玉では提出が義務づけられている。
 実務上におけるメニュー表で留意する点は以下である。

(1)税込価格とすること
 令和3年4月から、消費税込みの料金表示をすることが義務づけられている。

(2)わかりづらい、不明な料金は書かない
 申請段階でのメニュー表には「時価」「ask」「1,000円~」などといった料金は記載することができない。これらの表示では結局いくらかわからないからである。

(3)深夜酒類のメニュー表
 バーなどの深夜酒類は接待行為が禁止されている。よってメニュー表に「スタッフドリンク」「キャストドリンク」などの記載はできない。また、栃木県などでは「テキーラ観覧車」などは接待行為を前提にしたメニューととられ記載することはできない。

量定区分 C
20日以上180日以下の営業停止命令。基準期間は、40日。

 令和7年の風営法改正前は量定区分がGであったが、改正に伴い処分が重くなった。

(7)POINT

✅事前の料金表示を義務化し、トラブルを防止。料金の水準は自由(4号営業は除く)。
✅規則33条に表示方法の定め有り。注文前に客にメニュー表を渡せばOK。
✅規則34条に営業種類毎に記載すべき内容が記載されている。遊興に係わる料金を掲載すればOK。
✅実務ではメニュー表ひとつとっても注意する点が様々ある。特にバーなどの深夜酒類は注意が必要。
✅法改正に伴い本条違反の罰則が引き上げられた。