キャバクラの営業所施設基準

キャバクラなどの社交飲食店は許可を出す基準(許可基準)となるルールが設けられており、風営法の第4条第2項にはそれらの基準を守らない場合は「許可をしてはならない」とハッキリかかれています。この記事では社交飲食店の許可基準のうち営業所の施設基準について記載していきます。

客室の床面積

 客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては一室の床面積を九・五平方メートル以上とし、その他のものにあつては一室の床面積を十六・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。

風営法施行規則第7条表

 施設基準は全部で7つありますが、最初に「客室面積」に関する規定が記載されています。「客室」とは、通常客が飲食をし遊興するスペースをいい、いわいる客席やカウンターテーブルの上を指します。逆にトイレ、厨房、カウンターの内側などは客室に含まれません。

 「和風の客室」とありますが、これは料亭などのお座敷を指し、「和風の内装」という意味ではありません。つまり、ほとんどの社交飲食店が1室16.5m²の客室床面積が必要ということになります(ただし、客室が1室のみの場合は除く)。

 「1室」とは部屋として完全に独立した空間を指し、単に広いスペースをついたてなどで区画しただけでは1室とはなりません。16.5m²というと約10畳ほどの広さが必要になり、客の一人一人にこのような個室を設けるわけにはいきません。そのため社交飲食店の多くがフロアに椅子とテーブルを並べて客席を設けるスタイルをとっています。

外部からの見通し

客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。

風営法施行規則第7条表

 上記の基準が必要とされるのは、営業所の外部から客室内部の歓楽的雰囲気が容易に見えてしまうと、周囲の風俗環境に影響を与えてしまうためです。そのため、外部から内部が見える窓がある場合はスモークなどの目隠しをする必要があります。場合によっては出入口のすぐ内側についたてやカーテンなどを設置する必要があります。

見通しを妨げる設備

客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。

風営法施行規則第7条表

 いわゆる「1m以上のものを店内においてはいけない」というもので、この基準はわりと有名だと思います。ちなみに通説のとおり1m以上の椅子やついたてなどを店内に置くことは出来ず、その根拠は風営法の解釈運用基準に存在します。

施行規則第7条の表中「見通しを妨げる設備」とは、仕切り、ついたて、カーテン、背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)等をいう。

風営法解釈運用基準第12-8-(1)

風俗環境を害するおそれのある設備等

善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。

風営法施行規則第7条表

 ここでいう写真や広告物とは、法に違反する行為をおこなっていることを伺わせる広告、著しく射幸心をそそるおそれのある広告、ヌード写真や性器を模した装飾などです。解釈運用基準はこの他にも様々列挙されておりますが、一般的に卑猥と思われるものを設置しなければ問題ありません。

施錠の設備

客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。

完全に区画された客室の入口に施錠の設備を設けてはいけないということです。営業所の出入口に関しては施錠があっても当然問題ありません。

照明設備

第三十条に定めるところにより計つた営業所内の照度が五ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

 社交飲食店の営業所の明るさの下限について記載されています。5ルクスとは、ギリギリ本の文字が読めるくらいの明るさとされておりかなり暗くすることが可能です。

 なお、スライダックス(調光器)の使用は認められていません。

 第30条に定めるところ、とあるのは照度の計測場所のことであり、客室にテーブルがや飲食物を置く設備がある場合はその上面及びその上面における高さの通常客が利用する部分。テーブルがない場合は、椅子の座面と及びその座面の高さにおける通常客が利用する部分。椅子もない場合は、通常客が利用する場合における床面または畳などの敷物の上で計測します。

防音設備

 第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

風営法施行規則第7条表

 カラオケなどで営業中の騒音が条例で定める数値以上になってしまう場合は防音設備を設置しなければなりません。しかし、音響設備もなく営業所の壁が分厚いなど特に外部に音が漏れない場合は防音設備の設置は必要ありません。

おわりに

 以上が社交飲食店における営業所の施設基準になりますが、いかがでしたでしょうか?社交飲食店の許可は検査員による「実査」と呼ばれる検査が入りしっかりと営業所を見られます。ですので、居抜きにせよ内装工事をするにせよ施設基準を理解したお店作りが求めらています。
 この記事があなたのお役に立てれば幸いです。最後までお読み頂きありがとうございました。