【新風営法 第22条の2】接待飲食営業を営む者の禁止行為

令和7年風営法改正の背景 ―― 露呈した悪質ホストクラブの卑劣な営業実態

 令和7年6月28日に施行される風営法改正。その中心にある第22条の2が、なぜこれほどまでに峻烈な内容となったのか。それは、一部の悪質なホストクラブにおいて、もはや「営業」とは呼べないほどの卑劣な搾取が常態化していたからだ。

 悪質ホストクラブで繰り広げられてきたのは、売上至上主義に毒され、客の支払い能力を無視した「担当の暴走」だ。「応援したい」という客の射幸心を煽り、一晩で数百万円もの売掛(ツケ)を背負わせる。客を人間としてではなく、単なる「カネを絞り出す機械」としか見ないその卑劣な魂胆こそが、全ての悲劇の起点となった。

 借金が膨らめば、ホストは一転して「債権者」へと変貌し、執拗な取り立てを開始する。そこにはかつての「甘い恋人」の姿は微塵もない。金づるである客を精神的・肉体的に徹底的に追い詰め、正常な判断力を奪っていくのだ。それはもはや接客業ではなく、組織的な略奪に他ならない。

 今回の改正で「誘惑」が明文化された。その背景には、吐き気を催すような卑劣な手口の存在がある。「成功したら結婚しよう」「二人で店を出して一緒に住もう」――。 こうした将来の幸福を餌に、客を洗脳し、自発的に風俗店やAV出演へ足を踏み入れさせるよう仕向ける。

 客は「自分の意思で稼ぎに行った」と思い込んでいるが、その実態は、ホストが客をソープランドやデリヘルへ送り込み、その稼ぎを売掛回収として吸い上げる「現代の身売り」に他ならない。

 さらに醜悪なのは、この問題が国内で放置され続けた結果、日本の恥部として世界に露呈したことだ。 新宿・大久保公園の立ちんぼがSNSで世界へ拡散され、あろうことか海外の観光客が冷やかしに訪れる「観光スポット」と化す異常事態。さらに、売春目的の日本人女性による渡航がアメリカ入管で拒否されるなど、外交問題にまで発展した。

 他国から「人身売買の温床」と指弾され、ようやく重い腰を上げた日本政府。これが第22条の2という、過去最強の禁止規定が誕生した不名誉な舞台裏なのだ。

 本条が禁ずる「料金の支払」とは、単なるレジでの決済に留まらない。解釈運用基準により、以下の状況もすべて射程圏内に入っている。

  • 「掛払い」「ツケ払い」:いわゆる売掛金の回収。
  • 「立替え」:接客従業員が客に代わって支払い、後に客へ請求する求償権の弁済。
  • 「前入金」:将来の飲食内容が特定された事前の支払い。
  • 「将来の支払」:来店頻度や利用額を増やすよう求めるなどした場合の将来の料金。
  • 「おひねり・贈与」:応援する接客従業者への金銭交付や、違約金名目。

これらあらゆる名目の金銭授受において、客を「威迫」し「困惑」させることは、もはや許されない。

 第2号は、客に対して料金支払いのために「特定の手段」で金銭を得るよう要求・誘惑することを、以下の五項目にわたって厳格に禁じています。

  1. 法令違反(イ):売春等の違法行為を強いること。
  2. 性交類似行為等(ロ):性的好奇心を満たす役務に従事させること。
  3. 性風俗特殊営業(ハ):ソープランド、デリヘル、ヘルス等への入店。
  4. 性行為映像制作物への出演(ニ):いわゆるAV出演契約による資金調達。
  5. 海外での売春(ホ):海外へ渡航させての売春行為。

これらを客にやらせる事はホストの「営業努力」とされていたが、改正後は「営業停止」を招く明白な違法行為となった。

 法改正により、卑劣な搾取に頼る悪質ホストクラブは淘汰されるだろう。しかし、健全な営業を行なっていた多くの店舗にも一定の影響があることは否定できない。であればこそ「一線」を正しく理解し、自浄能力を持つ経営者にとっては、市場を勝ち抜くための追い風となるのだ。

 第22条の2という峻烈な法理を逆に味方につけ、不動の矜持を持って歩む。当事務所は、貴方の店舗が足を踏み外さぬよう、実務の最前線で見守っている。

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外部リンク

悪質ホストクラブ対策について(警視庁HP)
栃木県風俗営業許可関係
群馬県風俗営業許可関係
埼玉県風俗営業許可関係
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令