○○ちゃんに家買ってあげちゃう♡飲み屋での冗談発言の有効性は?

 「○○ちゃん今度結婚しよう♡」「○○ちゃん可愛いいから今度家かってあげちゃう♡」酔っ払ったおじさんによるこのような発言は日本中の飲み屋において毎日繰り広げられております。そして受け手であるお姉ちゃん達により歓楽的雰囲気の中で発せられた「冗談」として扱われ処理されます。
 だがしかし、この「冗談」を真に受けて(または真に受けたフリをして)本気にしてしまった場合、おじさんはいったいどうなってしまうのでしょうか?今回は夜の業界の何気ないやりとりを民法の視点から見ていきます。

(1)ある日のクラブ甲

 風俗営業1号店「クラブ甲」において常連客(以下「乙」という。)が接客従業員(以下「丙」という。)に対して「今度君に家を買ってあげるよ」と酩酊状態で発言した。甲の責任者であるママは乙の発言を聞いていたが乙はいつもそんな調子なので気にしなかった。しかし3日後、丙が乙に「家の件はどうなったか?」と電話した。乙は最初なんのことかわからなかったがクラブ甲での発言と気づき「あんなのは冗談だ」と返答した。丙は乙を訴えると激高した。

(2)「冗談」の有効性

 上記のような飲み屋での他愛ない冗談は民法では「一応は有効な発言」としている。とすれば
「なるほど!客を酩酊させいかに利益の贈与を行なう旨の発言を引き出すことがこの仕事の神髄であったか。うまくやろう。」と考える方も中にはいらっしゃるであろう。

(3)無効となる場合

 しかし冗談が有効となるためには以下のどちらにも該当しない必要がある。

① 言われた側が、冗談であるとわかっていたとき
② 言われた側が、少し注意すれば冗談だと気づけたとき

 どちらかに該当した場合、冗談発言は無効となる。
よって、クラブ甲での丙の主張は無効となる可能性が高い。

(4)民法第93条

 上記のように無効とされる原因は

大人だったらそれくらいわかるよね?

ということだ。法律ではこれを本心(心)を裏(袖)に留めおく(留保する)という意味で

(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

(5)第三者に対する有効性

 ただし、もし丙が乙の家を第三者(以下「丁」という。)に売却するような契約を結んでいた場合、乙は冗談だから無効だ!という主張を丁にすることはできないとされています。

2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

(6)終わりに

 この心裡留保が関係する判例としては、退職願の提出につき反省の態度を示すためにしたものであるから心裡留保にあたり退職に意志表示を無効としたケースや、同棲生活解消のために2000万円の支払を約束した契約が無効であるとされたケースがあるようです。目的に対して手段があまりにも採算があわないような契約をした場合は心裡留保と判断される場合があるようです。

POINT

✅冗談でも原則有効。
✅相手側が冗談が真意ではないと知り又は知ることができる場合は無効。
✅事情を知らない第三者には冗談を主張できない。
✅目的達成に対して常識的におかしい契約を行なうと心裡留保として無効となる場合がある。

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