師匠の金言:水商売に向いていない人

 現在は行政書士として活動している私ですが多年に渡り風俗営業に従事してきました。その中で私にとって風俗営業の師匠と言えるお方のお言葉をご紹介いたします。

師匠の専門と人柄

 師匠は風俗営業1号(社交飲食店)の中でも「クラブ」の営業形態を専門としています。
クラブは、所謂キャバクラとは一線を画し完全なる高級志向。師匠曰く「地域で一番のお店であり一番いいお客様だけ相手にしたい」というスタンスで営業していました。そんな師匠の人柄は、知識、経験、話術、柔軟性、すべてが最高レベルまで高められており行政書士となった今でも尊敬に値するお人柄です。

師曰く、水商売に向いていない人

 師匠は、時折私に水商売の関して教えを授けて下さいましたが「水商売に向いていない人」として以下の3類型を上げていました。

1.酒にだらしない人
2.女にだらしない人
3.金にだらしない人

 師匠は、その内容について多くはかたらなかったため、以降はこの教えを元にした私の考察になります。度合いが軽い順に記述していきます。

1.酒にだらしない人

 まず酒にだらしない人。
 水商売にアルコールは不可欠です。酒があればこそ昼の垢を落とし社交を円滑にするからです(一説によると「水で稼ぐから水商売」というらしいです)。しかし何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」適量に留めないと悪い結果となります。よくある酒の失敗としては以下が上げられます。

(1)オーナーが店で泥酔。客に迷惑をかけたあげく病院に運ばれる。
(2)近隣の店舗とのトラブル。
(3)運営スッタフが営業中に顧客と呑んで泥酔。接客スッタフの信頼を失う。
(4)飲酒運転、車両大破。

 似たようなことが一度は店舗で起こるのではないでしょうか。(4)のケースはあってはならないケースですが、こういった方もおりました。飲酒運転の事故の場合、保険はおりませんので事故に関わる全額が自己負担となる他、警察関連の罰則も適用されます(罰金は50万円くらいらしいです)。自動車保険を扱う保険外交員曰く「人生終わる」そうです。
 しかし、ただ酒を辞めればいいだけなので3つの中では一番立ち直りやすいと思います。営業で呑んでダメになってしまう方は、最近はノンアル営業も推奨されていると思いますので一度人生を考えましょう。

2.異性にだらしない人

 「女にだらしない人」改め「異性にだらしない人」ですね(同性同士ということもあるのでしょうが)。 一般にキャバクラなどにおいて男子スッタフと女性キャストが恋愛関係になることを「風紀」といい、店内規約における罰則の対象となります。これに関しては具体例内容を挙げるのは控えますが最悪なケースとしては、ボーイがキャストを唆して一緒に退店し、隣町に店をオープンすることなどが上げられるでしょうか。
 コレを持っている人はほんとに治らない。数字的な害が無いようでじわじわと店舗環境を悪くしていく悪癖といえます。

3.金にだらしない人

 「風俗営業に向いていない人」の最後はやはりコレになるでしょう。ズバリ「金にだらしない人」。
この悪癖を持っている者は他のすべての悪癖を持っていると思います。酒を飲むにも異性と付き合うにもお金は入り用ですから。具体例としては

(1) 従業員の給料を払わない又は大幅に遅れる
(2) 経営者の個人的な豪遊に使ってしまう
(3) 利益が出たらすぐに使ってしまい店に金が残らない

 この悪癖をもっている方は(1)(3)のような事態になることが予想できるにも関わらずとにかく金を使う傾向にあるようです。何事もほどほどが一番ということでしょう。

終わりに:水商売だけの話しじゃない

 こう書いていきますと、これら3つの悪癖はなにも水商売に限った話しではないなと感ぜられます。

・飲酒運転でつかまる人。事故起こす人。
・前日飲み過ぎてフライトを遅刻する機長。
・部下と公務中にホテルで密会する市長
・会員の積立金を着服してしまう会議所職員
・政治資金パーティーで得た収入を報告しない政治家

 上げればきりが無いのです。社会で生きていく中でたまに自分を見つめ直し、己の悪癖を飼い慣らしながら上手く生きていきたいものです。私は酒に気をつけます。