一条響『億女』に学ぶカリスマキャバ嬢とは

 今回は、いわゆる『カリスマキャバ嬢』とはなんなのか?という疑問について東京のカリスマキャバ嬢、一条響氏の著書『億女 売上モンスターキャバ嬢 一条響のつくりかた』(2021年3月1日発行)を参照しながら考察していきます。

一条響とは?

 著者の著者プロフィールによると一条響氏とは以下のような人物であるとのこと。

新宿歌舞伎町キャバクラ「FOURTY FIVE(フォーティファイブ)」キャスト兼ディレクター。六本木の超人気キャバクラ店に勤めだし、すぐに人気を集めるも、歌舞伎町に移ってからさらなる「カリスマ嬢」へと大ブレイクを果たす。年間7億円を売り上げ、イベントでは一日4000万円は当り前。コロナ禍になっても億を稼ぐ、「ザ・ラスト・キャバ嬢(ラスキャバ)」。女性ファンからの「かわいい」との熱いラブコールも絶えず、インスタグラムのフォロワーは38万人を超える。キャバ嬢のかたわら、マツエクサロン「Eye Sound」の経営にも乗り出し、年商4000万円と堅実なマネジメント手腕を発揮している。

 ちなみに2025年12月15日現在のフォロワー数は58万人となっており今もなお人々から支持を得ていることが伺えた。年間7億ほど売り上げるとされるが、自身が経営するサロンの年商がイベント1日の売り上げと同額とはどういう次元なのだろうか。さすが東京の繁華街。

どうしてキャバ嬢になった?

 友人がキャバクラで働いていて、自分がヒマだったから。とし、友達が働いている店にいってみたらオーナーが気に入ってくれて、月に何回か遊びにいくような感覚で始まったという。未来のカリスマははじめから凄まじく「ただ、なんとなく店内を歩いていると、本指名が入ったりしていたんです。」という具合だったらしい。一方で当時の自分を以下のように振り返っている。

「オカマちゃんが大好き」であり、週4回ほど2丁目にいっていたらしい。
「ヤバい、二日酔いだ、当欠(当日欠勤)しよ~みたいな。」勤務態度。
「ほんとう、いまから考えると当時は人としてゴミみたいな生活してました。」とし「普通にヤバいやつでした。」と自身を振り返る。

キャバ嬢学

 当時の一条氏はまじめに勤務する気も無く、見て学ぶ姿勢もないので他のキャストと揉めて初めて店のルールを理解していた具合だという。「私は適当、かつ面倒くさがりやな人間なんです。」とし、この仕事にむいていないと自己分析していた。しかし、そんな一条氏も成績が上向くに従って「頑固で負けず嫌いな性格が出始めた」として「向いていると自分を洗脳した。」という。そして性格的に出勤すること事態にハードルがあったがその克服について以下のように著述している。

 売れた状態を維持しよう、負けないようにしよう、と思ったら、出勤もしないといけない。
 でも、出勤するのはだるいと思うわけです。
 起きて、ごはんを食べて、お風呂に入り.....出勤するーキャバクラへ出勤することを生活の一部にしていったんです。
 しなきゃいけないというか、ご飯を食べたいと思うように、キャバクラも出勤したいと思うように変えたというか。
 身体が勝手に仕事に行くモードになるようにしていきましたね。

 自分にとって辛いお店への出勤をルーティーン化するように自己洗脳していった一条氏。
 大きな事を成し遂げるためには小さい事の積み重ねが欠かせませんが、キャバクラでの成功にも当てはまるようです。ルーティーンや努力の重要性はこれまで他の名言にも現れています。

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへいくただひとつの道だ」
(イチロー / 元プロ野球選手)
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」
(ウィリアム・ジェームズ / アメリカの哲学者・心理学者)

どうしたら売れっ子キャバ嬢になれる?

 一条氏は著書の「どうしたら売れっ子キャバ嬢になれる?」という章の一行目から以下のように語る。

 自分で自分の価値を上げること。
 いくら素晴らしいことを言ってたりしても、自分自身の価値が低いと、おカネを遣ってもらえない。
 たとえば、むちゃくちゃ面白くて可愛くても、身につけているものや喋り方がよくないと、
「じゃあお前、吉四六でいいや」ってなっちゃうかもしれない。

 なにか、カリスマキャバ嬢っぽいというか、一条節を感じる哲学である。
「キャバ嬢としてやってきて、とくに大事だなと思っているのは、自己ブランディング。」としており、セルフブランディングの重要性を説いている。持ち物や清潔感に気を遣い、お客様から「おカネかかりそうなやな」と思われるのが最高の褒め言葉と考えているという。
 その他には「売れているみんなに共通して言えることは、ニコニコしていること。」として第一印象の重要性を意識していることが伺えた。

 「人は見た目が9割」で有名なメラビアンの法則によれば「初対面の印象は「見た目(視覚情報)が55%」「声(聴覚情報)が38%」「話の内容(言語情報)が7%」の割合で決まるというもので、非言語的要素(見た目・声)が感情や態度を伝える上で言語情報より圧倒的に重要であることを示す心理学の法則。第一印象を制する者がキャバクラを制する者と言えるであろうか。

お店で接客する際に心掛けていることやポイント

 接客に関して心掛けていることは概ね以下の通り。

①インパクトとギャップ
 基本的に覚えてもらえるように元気でやかましい感じを意識している。もともとの印象と逆をいくような対応をするのも大事。
②ハイテンション
テンションが高いのは大事で、出勤時に強めの酒を飲み自分のテンションを上げており「これはお勧め」としている。
③場や年齢層で接客を変える
 接客に関してその他には、客の年齢や、状況によりまったく違う対応をして相手や場にあった対応を心掛けているという。そして「とにかく、どんなときもニコニコしています。」という。
④いじわるな客のかわし方 
 時には容姿についていじわるに言われる場合もあるようでその際は客と言い合いになる場合もあるとし「かわし方」が難しい。一朝一夕で身につくものでは無く先輩や他のキャストを見て盗んだ技術だという。
⑤とにかく全力
 卓が被る場合が多く、席に着けない時も「ごめんね」「もうすぐ戻るね」などここぞとばかりにLINEし、ボーイやヘルプの助力で自身がいない時間を乗り切り「とにかく店の中では全力」だという。

 このあたりを読んで思うのは、カリスマキャバ嬢とは相手や状況を瞬時に察する柔軟性と、どんな場や相手にも屈しない強さが求められると感じた。また、全力さは大事だろう。強力なライバルも多いであろう環境の中で本人からなにか感じるものがないと大勢の客等の支持を受けるのは難しいのではないか。ただ、やる気が空回りして店舗で暴れる存在になられても迷惑だが。

全国のキャバ嬢がライバル

 一条氏はとにかく志が高い。

 ライバルは同じお店の子だけじゃない。
 全国のキャバ嬢がライバルだから、本気でやらないと勝てないと思う。

という志で業務に望み

 キャバ嬢として中途半端にやるよりは、振り切ってやったほうがいいことのほうが多いと思う。
 お小遣い稼ぎとしてやるのもそれはそれでよいけど、本気でやるならプライベートは捨てた方がいい。

 として全力でやるならプライベートは不要であるという持論を展開する。そんな一条氏の当時のあだ名は「剣山」(けんざん)。目がつり上げっているからだそうだ。

高いお酒をいれてもらうには?

 一条氏の高額ボトルを入れて貰う手法としては

・何飲みたい?と聞かれた場合「シャンシャン(シャンパン)する?」などをギャグっぽく言う。
・断られることは恐れない。そのプライドは捨てましょう。
・「はじめて」という言葉は有効。

 高額を入れて貰い、会計があまりにも高くなったら全力で謝る場合もあるが
「楽しかったからしょうがない」
「響だからしょうがない」

と思ってもらえるようにしているという。
 資産があってもお金を遣わない人に対しては「私はずっとナンバーワンでいたいから応援してほしい」と飲みの場では無いところで1対1で真剣に話すのだという。スゴいな...。

共通点か?

 大部分を読んで、いやスゴい人だなと圧倒されましたが最後になって三歳からケガでやめる高校一年生までクラシックバレーをやっていたことが書いてある。学校や部活にもいかずにバレエに打ち込んでいたらしい。
 私も自衛隊を辞めて8年間劇団員だったのでわかりますがクラシックバレーの教室は優雅なイメージと違い「道場」です。練習は非常に厳しくみんな異様に負けず嫌いです。一条氏の異様な負けず嫌いさがバレエをやっていたというので納得できました。(バレエは姿勢が大事だったりするのですが、歩いているだけで指名もらえたのも関係あるか?)
 そう思うと、ナンバーワンキャバ嬢にあまり知り合いはいませんが、ずっとテニスやってた人や、バレー部のキャプテンだった人とか体育会系が多いかもしれません。競争に耐えれる強いハートを持っていることはキャバ嬢で売れるために大事かもしれませんね(逆に剣道にずっと打ち込んでて1年だけ頑張ったら宝ジェンヌになれた男役TOPもいたなと思い出した)。

何もしないで自信がないっていう人は何もしないからだと思うんです。

 マイペースで自己中な性格は自覚しつつ、自分を持っていていいなと思っている。
基本的にプラス思考。自分に自信がなかったら自信がつくようなことをする。自信につながる努力をしていればそれが自信になると思うという。そして「言霊」はあると思っていてネガティブな発言は控えているという。そもそもマイナスな者には近づかないのだとか。

 自分の自信がなくなるようなことやモノに近づかない、見ない、触れないことは大事だと思います。
 そこをシャットダウンすると、自分のなかを幸せなものだけで満たせるし、自信になると思います。

 終わりに

 今回「億女」を読んでいままで業務で係わってきたキャバ嬢の思考を少し理解できた気がしました。私個人としては前向きな思考を保ち続けることの大学べた学べた気がしました。
 あなたも目指せ!カリスマキャバ嬢!!

外部リンク

・かおるTV(YouTube)
悪質ホストクラブ対策について(警視庁HP)
栃木県風俗営業許可関係
群馬県風俗営業許可関係
埼玉県風俗営業許可関係
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令