夢が悪夢に変わらないために~店舗選びは慎重に~

長年の夢だったお店のオープン。しかし、店舗に予期せぬ瑕疵が…。

 世の中、絶対安心はありません。交通事故もそうですが、どんなに注意したってトラブルや最悪の事態は起きてしまいます。大手不動産会社によると不動産の相談件数は年間で2万件とのこと。決して人ごとではないのです。今回は飲食店営業用店舗のトラブルについて記載していきます。

不動産会社は聞かれない限り不都合なことは言わない

 不動産を選ぶとき、内検を必ずするかと思うのですがよく写真をとって隅々を確認するべきです。ただでさえ電気が通っていない場合が多いのでしっかりと。エアコンや照明など、電気がついたら使用できる設備も大事です。そして、瑕疵(欠陥や不具合)を発見した場合、または将来の補修等について最初によく不動産会社と話しあう必要があります。

 業者にもよりますが、物件の問題点について、こちらから質問しなければ十分な説明を受けられないケースもあります。後から「聞いていなかった」ということにならないよう、気になる点は契約前に確認しておくことが大切です。

契約書は一度持ち帰って真剣に確認したほうが良い

 基本的に不動産の修繕義務は賃貸人にあります。雨漏り、給排水設備の故障、建物や付属設備の破損などです。しかし、これらは契約によって借主負担に変更することが出来ます。契約時に不動産会社が重要事項説明してくれる場合がありますが、かならずしも義務ではありません。契約書は一度持ち帰ってよく確認。わからないところはChat-GPTや専門家に聞いてみる。そして質問をまとめて改めて聞いてみた方が良いです。ただあまりやり過ぎると「めんどくさい客」のレッテルを貼られるかも知れませんが…。

重要事項説明をしなくても良い場合がある

 重要事項説明とは、不動産会社が、物件を借りる前に、契約するかどうかを判断するために重要な事項を説明することです。説明は、資格を持った宅地建物取引士が行います。

 法律で定められた重要事項を説明しなかった場合、不動産会社は宅建業法違反となり、指示処分や業務停止処分、場合によっては免許取消しなどの行政処分を受ける可能性があります。また、説明を怠ったことで借主に損害が生じた場合には、損害賠償を請求される可能性があります。

 しかし、この大事な説明をしなくてもよい場合があるのです。それが、不動産会社が自ら所有する物件を、自ら貸主として賃貸する場合です。

 宅建業法では、不動産会社が「貸主」として直接契約する場合、宅建業者としての重要事項説明を行う義務はありません。つまり、不動産会社が仲介に入っている物件と、不動産会社自身が所有している物件では、重要事項説明の扱いが異なるのです。

不動産会社が貸主なら安心、とは限らない

 では、なぜ不動産会社が自ら所有している物件を貸す場合、重要事項説明が必要なくなるのでしょうか。これは、その取引が宅建業者による「仲介」ではなく、通常の物の貸し借りと同じ扱いになるからです。簡単にいえば、不動産会社が「仲介業者」ではなく、単なる「貸主」になるのです。

 例えば、知人から物置を借りる場合を考えてみてください。知人が「この物置を月1万円で貸す」と言えば、基本的には所有者と借主との間で行う、普通の「物の貸し借り」です。不動産会社だからといって、特別な説明を受けるわけではありません。

 不動産会社が自ら所有する店舗を貸す場合も、基本的な構造はこれと同じです。そのため、不動産会社所有の店舗を直接その不動産会社から借りる場合、重要事項説明をしなくてもよく、その事に対して罰則もありません。

 これは借主にとって、決して小さな違いではありません。物件について十分な説明を受けないまま契約し、後になって建物や設備の不具合が発覚する可能性もあるからです。

不動産トラブルが起きたら、まず相談する場所

 では、実際に不動産会社との間でトラブルが起きてしまった場合、どこに相談すればよいのでしょうか。

 まずは、その不動産会社が加入している宅建業者の保証協会や、都道府県の宅建業を担当する窓口に相談するという方法があります。

 「契約内容について説明を受けていない」「不動産会社の対応に問題がある」「契約後にトラブルが発生した」など、不動産会社とのトラブルについて相談することができます。

 ただし、すべてのトラブルを解決してくれるわけではありません。特に、

 それでも、どこに相談すればよいのか分からないときの最初の相談先として、これらの窓口を知っておくことは大切です。

弁護士に相談すれば解決するのか

 不動産会社との話し合いで解決しない場合、弁護士に相談して訴訟などの法的手段をとることも考えられます。

 しかし、訴訟を起こせば問題がすぐに解決する、というわけではありません。

 まず大きな問題となるのが、費用と時間です。

 例えば、店舗の不具合によって500万円の損害が発生したとしても、その500万円を裁判ですべて認めてもらえるとは限りません。さらに、弁護士費用などの負担も発生します。結果として、勝訴したとしても、費用や労力を考えると割に合わない「費用倒れ」になる可能性があります。

 特に店舗の場合、トラブルが発生するのは開業直後というケースもあります。開業時に多額の資金を使い、手元の資金が最も少なくなっている時期に、さらに弁護士費用や裁判費用を負担することになります。

 そして、もう一つの問題が時間です。

 裁判は、訴状を提出すればすぐに決着するものではありません。事件の内容によっては、解決までに1年以上、場合によっては数年かかることもあります。

 店舗の不具合によって営業できず、「この店舗で営業を再開したい」という理由で争っている場合、その間も家賃などの固定費が発生し続けることになります。

 つまり、裁判には勝つか負けるかという問題だけではなく、「勝つまでの間、事業をどう維持するのか」という現実的な問題もあります。

トラブルが起きても、感情的にならない

  もし物件についてトラブルが起きても、決して感情的にならないことです。

 「こんな物件を貸すなんて許せない」「絶対に責任を取らせる」と思ってしまう気持ちは、よく分かります。せっかく準備してきたお店が、思いもよらない不具合によって営業できなくなれば、怒りや焦りが出るのは当然です。

 しかし、そこで感情のまま相手を責めたり、強い言葉をぶつけたりすることは、決して得策ではありません。

 そもそも、普通の賃借人にとって裁判は身近なものではありません。一方、不動産会社は不動産を扱うプロです。契約やトラブルへの対応にも慣れています。

 こちらが感情的になればなるほど、相手に余計な材料を与えてしまうことがあります。後になって裁判などの法的手続きに進むことになれば、メールやメッセージ、会話の内容なども問題になる可能性があります。

 「自分は正しいのだから、何を言ってもいい」というわけではありません。

 トラブルが起きたときこそ、まず冷静になりましょう。

 何が起きたのか。契約書には何と書いてあるのか。誰にどのような責任があるのか。実際にどのような損害が発生しているのか。

 感情ではなく、事実と証拠を一つずつ整理することが大切です。

 相手の対応に納得できないとしても、まずは冷静に話し合う。そのうえで必要であれば、行政の相談窓口や専門家に相談する。

 怒りに任せて行動するより、冷静に自分の権利を守るほうが、最終的には自分自身のためになります。

 トラブルが起きたときほど、冷静に。

 これは、店舗を借りる人にとって、とても大切な心構えだと思います。

やはり最初が肝心

 店舗を借りるときは夢や目標に満ちています。やらなければならないたくさんこともたくさんです。

 しかし、忘れてはいけないのが契約書の確認です。

 「ここでお店をやりたい」という気持ちが先に立つと、多少気になることがあっても、「まあ大丈夫だろう」と契約してしまうことがあります。

 ですが、契約をしてしまった後では、話が変わってきます。

 修繕は誰が負担するのか。設備が故障した場合はどうなるのか。退去するときにはどのような費用が発生するのか。

 こうしたことを、契約する前に確認しておくことが大切です。

 店舗経営は、オープンするまでが大変なのはもちろんですが、オープンした後も地道な苦労が続きます。

 売上を作り、仕入れをして、家賃を払い、お客様に来てもらう。毎日の積み重ねです。

 だからこそ、せっかく始めたお店を、契約時の確認不足によるトラブルで苦しいものにしてほしくありません。

 お店を始めることは、人生における大きな決断です。

 焦って契約するのではなく、最初に契約書をしっかり読む。

 分からないことがあれば、契約する前に確認する。

 店舗経営は、最初が肝心です。

店舗を借りる前に、ご相談ください

当事務所では、これから店舗を借りて開業される方を対象に、店舗賃貸借契約に関するご相談や、契約時の立会いにも対応しています。

「この修繕費は誰が負担するのか」
「この特約はどういう意味なのか」
「契約する前に確認しておいたほうがよいことはないか」

契約にあたり気になる点を整理していきます。

店舗を借りてからトラブルになる前に、契約する前の段階で一度ご相談ください。
特にキャバクラなどの風俗営業許可は営業する場所や内装に制限がありますのでご注意下さい。

※ご相談・契約立会い等の業務には、所定の相談料・報酬がかかります。具体的な料金については、お気軽にお問い合わせください。

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外部リンク

悪質ホストクラブ対策について(警視庁HP)
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風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令
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・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令